INTRODUCTION

 この度舞台『Too Young』の脚本を担当しております、劇作家の古川健です。数年前、宮﨑秋人さんと初めてお仕事をご一緒した際、その誠実で逞しい演技力と、人柄の良さが滲み出るような佇まいに目を奪われたことを今でも新鮮に思い出すことができます。

 その宮﨑さん主演の舞台を書く機会をいただけたことをとても嬉しく思うと共に、どのような演劇が出来上がるのか、わくわくする思いを我慢することができないでおります。

 歴史物ばかり書いている私には珍しく、『Too Young』は現代の新宿歌舞伎町を舞台にした物語です。世相の変化が露骨に表出する歌舞伎町、そしてトー横という特殊な街。しかし、そこに集う人間は私達と同じ人間です。繋がることを厭いながら、それでも誰かと繋がらずには生きていけない人間の性。今を生きる人間の、可笑しさ、悲しさ、そして愛おしさを感じていただきたいと思います。

 『Too Young』ご期待ください!

古川 健

 宮﨑秋人さんとご一緒した時の印象が鮮烈すぎて、もう一度宮﨑さんと作品を創ることを夢見ておりました。硬軟入り混じる宮﨑さんと正面から向き合える現場を一生懸命楽しみたいと思います。

 宮﨑さんと対峙する役どころには抜群の透明感と存在感を兼ね備えた綱啓永さん、僕が絶対の信頼を寄せる朝海ひかるさんをキャスティングすることが出来ました。

 人間の強さと弱さ、そして個人と社会といった普遍的なものを背景にしつつ、令和における〈人間の有り様〉を探していきたいと思います。

 ご期待ください。

日澤 雄介


あらすじ

 若者たちがたむろし“界隈”を形成している新宿・歌舞伎町の一角、トー横。

ある時、トー横キッズの一人であった少女が雑居ビルの屋上から飛び降りた。しかしその死はすぐに過去の出来事になってしまう。

 一方、しがない興信所の調査員である本郷(演:宮崎秋人)のもとに奇妙な依頼が飛び込んできた。それは、「娘の生きた痕跡を辿って欲しい」という、死んだ少女の母親(演:朝海ひかる)からの要望だった。戸惑いながらもトー横を訪れる本郷。調査の途上、その“界隈”の顔役であるジャック(演:綱啓永)と関りを持つようになり、「死んだ少女が未だ歌舞伎町にいる」というおかしな噂も耳に入る。

 本郷は調査を通し、トー横に居座る人間の心の内側に深く潜り込んでいくことになる。

そして…


Diverse Theaterとは

 Diverseとは「多様さ」、ワタナベエンターテインメントが新たに⽴ち上げた様々なクリエーター、プロデューサーとのコラボレーションにより、演劇の可能性を拡げる実験的なプロジェクトです。